君と空が広がってゆく

フジのライブがあって、
志村くんの誕生日にたくさんの人が想いを寄せていて、
・・・なんだか心がふわふわと落ち着かない日々が続いています。


少し、今を、書いてみようかな。


先日の日記にも少し書きましたが、
今の三人は、しっかり前を見据えていて、その姿勢は、頼もしいと思えるほどで。
正直、うれしかったですし、ほっとしたところもあります。
そして何より、ライブをメンバーが心底楽しんでいて。
私も、それを楽しむことができたのは、とても大きかったです。
こんな感覚、何年ぶりだろう。


今回のツアーでのパフォーマンスを見るまでは、
三人、ということが、ずっと不安でした。


アルバム「STAR」の曲たちは、
フジの音なのは間違いないのだけれど・・・私にはひっかかりがなくて。
初めて作ったアルバムですし、勝手が違ったところもあったと思うのです。
特に、詞に関しては。
そんな中で作り上げた、ある意味意志の強い作品で、
面白い曲や楽しい曲、突拍子もない曲から想いの籠った美しい曲まで、
バラエティーに富んでいて、やはり三人は素晴らしい音楽家だなと思いましたし、
フジファブリックというバンドの底力を見た気もしたのです、が、
どうにも私は、この作品を手放しで良いと、言えなくて。
・・・音楽の魔法って、そう簡単には作用しない。


この気持ちは、ホシデサルトツアーを見ても払拭されませんでした。
音はものすごく作り込んでいて、隙がなく、勢いもありましたし、
サポートはドラムだけというところに、
三人でやっていくんだという意気込みが見えました。
音数が少ない中、プレイヤーとしての三人がいかに優れているかというのを
改めて認識したところもありましたが、
どうも、定まっていない感じがあって。
音に隙がない分、総くんのうたが揺らいでいるのが際立って、
核がないのが、逆に露わになったような気が、どうしてもしてしまって。
特に志村くんが作ったうたは、どう鳴らすのが現時点での最良なのかを探しあぐねているような。
これは・・・私とて同じような気持ちではありましたけれど。
どう聞けばよいのか、わからないというか。
・・・・・あくまで個人的な感覚の話です。
すごく盛り上がりましたしね、ペニーレーンは。
・・・・・ただ盛り上がればよいような、底の浅いバンドではありませんけれど。


具体的にどこがどうとは言えませんし、
どうしても、四人と比べてという頭があるのは確かです。
同じバンドではあるけれど、まったく別のものである、という認識もあります。
この二つは、古参のファンとしては、避けて通れないものです。
なかったことにはできませんし、いくつも奇蹟のような瞬間を共有してきました。
そして、以前のような質感は、二度とは生まれない。
それをすべて承知の上で、今の三人と向き合ったつもりでした。
ただ、心の全部を解放すると、悲しみに圧倒されてしまいそうだったので、
一部は閉じたまま、ではありましたが。
・・・つまるところ、私は、三人のフジファブリックを面白いと思えなかった。
それが、ずっと不安で。
不在を嘆くだけの、後ろ向きな気持ちのままになるのが恐かったのかもしれません。
私は、志村くんのファンであり、
同じように、フジファブリックのファンなのです。
どちらも不可分であり、なくてはならないもの。
どちらも失うなんて、耐えられない。


そんな不安定な気持ちが少し、動いたのは、
ダイちゃん作曲、加藤さん作詞の{流線形}でした。
ダイちゃんらしい素直なメロディーと、
美しいピアノに特徴的なギターリフ、くせのあるリズム隊。
みんなのいいところを、惜しみなく注ぎ込んだアレンジ。
そして歌詞。
過去のメルマガや赤富士通信のコラムで、
かなり絶妙な文才をお持ちだということを、ファンの間に知らしめていた加藤さん(笑)
人に訴えかけることばを紡げるとしたら、加藤さんだろうなと、漠然と思っていたので、
これは、きたぞ、と。
やっと、重い腰上げたか、と。
コスパティーとか言ってる場合じゃねえぞと(笑)


タイアップがつくとか、フェスの動員がどうとか、何枚売れたとか、
まわりについてくる勲章みたいなもんは必要なくて。
(本人たちにとっては、後押しとして必要だったかもしれないけれど)
・・・三人で作った作品を、初めて、いいな、と思えた。
そのほんの少しの気持ちの変化こそが、私が彼らの音から欲しかったものだったのです。
涙が出ました。
こらえてたのが、たまらずあふれた。
フジファブリックは、間違いないよ、うん。



そして、
5年ぶりに迎えた地元函館、さらには初小樽での徒然流線ツアー。
迷いがない、というと少し言葉が過ぎるかもしれませんが、
三人の中で、何かが確実に変わっている感覚が如実に伝わって来て。
長いツアーの後半戦ということもあり、手ごたえみたいなものを掴んだような。
・・・・・走り出す準備がやっと整った、そんな高揚感と潔さにあふれていて。
そして何より、今鳴らしている音を、全力で楽しんでいる。
はしゃぎすぎじゃない?って言いたくなるくらいに(苦笑)
・・・鬼軍曹がいないと、こういうことになるのかぁ、と、ちょっとばかり思いましたが(笑)
でも、そのたのしいを、
ひとりよがりではなく、ちゃんとお客さんと共有できていて、場を掴むことができてた。


総くんのうたが明らかに進化していたのが一番の驚きでした。
発声練習等も随分しているのだと思います。声自体が変わっていて。
それに、うたう、という行為が、彼の中で違和感がなくなっているような。
うたうたい、と呼べるようになるまでは、まだまだ時間が必要だと思いますが、
少なくとも、STARの曲たちは、ホシデサルトの時より、その良さがわかるようにうたえていた。
志村くんの作ったうたに関しては・・・・・、
ごめんなさい、まだ、私も、どうしていいかわからない。
ただ、曲として、聞けるようにはなってきたかな。
だって、三人が目の前で演奏してくれてるんだもん。体が反応しない訳がない。
ぶっ飛ぶ曲では飛べるし、楽しいとも思う。
でも、うたとしては、受け入れられない。
・・・この違いは、伝えずらいです。
これはもう、永遠に言い続けるかもしれません。
ごめんね、総くん。
どうしようもないや。


サポートに来ていただいたボボさんの力は絶大でした。
うちのシンコペーションは本当に独特なので、なかなか、ぴったりくる方がいらっしゃらなくて。
その上、ベースが引っ張っていくようなタイプではないから、
どうしてもドラマーのテンポに近くなる→違和感が出る、ということが多くて。
でもボボさんは、そこのところを見事に合わせてくださっていて。
加藤があんなに楽しそうにベース弾いてんの、久しぶりにみました。
それぐらい、うちの感覚にあってる方なのだと思います。
{銀河}が、今までにないくらいの飛び方だった。
これ、奇蹟的です。


それから、ついつい笑っちゃったのは、
コール&レスポンスとか、みんなでシンガロングとか、クラップ揃えて!とか、
今まであんまなかったことなので(苦笑)
うちのバンド、こんなフレンドリーだったかいな?と(笑)
育ちの良いギタリストがセンター立つと、こういうことになるんやなーというか。
ボーカルがそういうの苦手な人なんでねえ・・・。
なんか、こそばゆいっすよ(笑)やるのは嫌いじゃないけどさ(笑)
センターに立つ人の性格によって、ここまで違うんかなーと、思ったり戸惑ったり。
悪くはないと思います。事実、巻き込む力強い曲五万とあるし。
うん。慣れます。がんばります・・・。
あと、自由すぎるMC。特に先生。
みんなを楽しませたいって気持ちも・・・あるんだけど・・・しゃべりたいっていうのが先行してて(笑)
暴走しがちなの気をつけた方がいいと思う。演奏も(笑)
もとから自由な人やけど、ちょっとねえ、年長さん考えなはれ(笑)
鍵盤はええ腕全開で。
それはもう、全開で。
鍵盤弾きとして、特異な人ですからね。
サービス精神も人並み以上にある人ですし、ついやり過ぎるのはいたしかたない・・・か?(笑)


・・・・・総くんが、素直に言いたいことを話してくれたのは、とてもうれしかった。
ああ、やっと聞けた、とも思いましたし。
背負わせてしまった重責を、全部受け止めます、と、
言えるまでになってくれたのが・・・申し訳ないと頭を垂れたくなるのと同時に、
とても、とても、うれしくて。
何も返せない。
文句ばっかり言うと想う。
でも、でも、三人に、これからもついていくよ。
そう、心から思えたのです。


三人の目線の先を、ほんの少しだけ垣間見た気がしたんだ。
そしてそれは、私にとってとても好ましいものだった。
・・・希望的観測かもしれませんが、
ライブで実際に向き合って得られたものには、そんなに誤差はないと信じているので。
越える、越えない、というものではなくて。
すべてを抱えたまま、この先も歩いくその行方が、ほんの少し明るかったように思えた。
飛び出すのなら ここからだ
やっとこの歌詞が似合うところまで来たな。
そして、それに、うん、と言えるところまで、あたしもこれたのかな。
 


なんだかとっちらかってますが、
今の率直な心持です。




{会いに}は、
生まれた時から、特別な意味をもったうただけれど、今回のツアーでそれを確信しました。
唯一、すべてが繋がってるうたなのです。
どうか、どうかこの感覚だけは、失わないでいてほしい。
あの、フジQの空を、
あのちょっと面倒な、勝手に孤独を背負った、孤高の背中を、
心に持っていて欲しい。
どんどん変わっていっていい。
志村くんのうたも、いずれうたえるようになるうたが増えていくだろう。
そこから、何か新しいものが、見えるかもしれない。
でも、
これだけは、
同じ温度で、同じ景色を、描き続けて欲しい。



あれもこれもと、要求ばかりでごめん。
まとまってなくて辻褄合ってない気もする。
そして、しがみついてて申し訳ない。
でも、一緒に、これから、新しい景色を、笑って見られるんじゃないかって、
思えるようになったよ。



フジファブリック、大好きだよ。



ありがとう。心から。