私にも昨日と明日が

harikona2006-04-16

小谷美紗子「WHO」発売記念インストアライブ
タワーレコード新宿店
2006.4.16


本当は無理矢理にでも,
お台場で開催されてた「渚音楽祭」に行くつもりだったのですが。
前日に発表されたタイムスケジュールを見たら,
お目当てのSun Porlが随分遅い時間で,
見ると帰れなくなるので,泣く泣く断念。


軽くヘコんでいたら,友人がこのインストアライブを教えてくれて。
告知見たら「トリオでやります!」と。
ということは,トムくん(D・玉田豊夢from100s)と
ヒロくん(B・山口寛雄from100s)が出るってことじゃないっすか!!
一気にテンション上がる私(苦笑)
ありがとう!持つべきものは友,ですなあ。
100sの個人活動を生で見るのは初めて。
しかもインストアなんて,超近くで見れる〜!うひゃっ!
・・・ってごめんなさい。誰のイベントだっつうの。
実はねー,正直ちょっと怖かったりしたんです。行くの。
小谷さんの歌,強いから。
それこそしっかり自分がないと,打ちのめされるのではないかって。
何枚かアルバム持ってるんですが,
プレイボタン押すのも,それこそ気合がいる(苦笑)


雨の中,開演時間の1時間前に会場に着くと,
ステージ周りはすでに人垣が。
うお!やばいやばい!と急いでタワレコ限定シングル「WHO」を買い,
パタパタと人垣に加わりました。
覗いてびっくり。
ドラムセット,本気で組んであって。
インストアライブで
ドラムセット持ち込む人ってあまりいないと勝手に思っていたから,
本当に驚いた。
小谷さんのピアノと向かい合わせにドラム。
その間にベース用アンプもろもろ。
丁度それぞれを頂点にした三角形にセッテイングされている。
それが畳4枚くらいのスペースに収まっていて。


開演30分くらい前になんとご本人たちがリハーサルで登場!
うひゃあ!小谷さんちっさい〜!かわいい!
ヒロくん・・・思ってた以上におっきい。
小谷さんの横にいるとさらにおっきく見えるよ・・・。
何気にお客が気になるご様子。ふふ。
そしてトムくん!手伸ばせば届きそうなところに・・・。感動。
すんごい細いイメージがあったのですが,さすがドラマー。
確かに線は細いのだけど,筋肉質なのが一目でわかりました。
ああ、この体でハニコム叩いてたのね・・・などと余計な妄想が(苦笑)
雨降りなのに,髪型ばっちり決まってます。スーパーサイヤ人。素敵。
お互いの間合いを計りつつ、
一個一個の音を確かめながら、慎重にリハーサルは進んでゆきます。
ピアノ(YAMAHAの電子ピアノでした)がどうもしっくりこないらしく、
何度も確認を。
その間、トムくんが、小谷さんに合わせるように、空間を計るように、
いろんな音を出してゆきます。
バス(随分と古いもののようにお見受けしました。確かカノウプス)、
スネア、タム、ハット、シンバル。
リムに当てたり、エコーっぽい強弱をつけたり、
まるーい暖かい音にしたり。
バチも太いものからブラシまで、そりゃあもう、
手を変え品を変えといった具合に。
目一杯堪能させていただきまして。
タム一個にしても,本当にいろんな音色がすんのねー・・・。
ものすごい至近距離で打音を受けているのに,
音がデカイという感じがしない。
初めは確かにちょっとびっくりはしたけど,
全体的にやわらかい感じがして,とても心地いい。
それに・・・なんだろ,
リズムが刻まれるたびに,ものすごいワクワクするの。
ゆったりしてても,走るように早くても,
ハネてても,とどまってても。
なにかの予感がするの。
はー,やっぱすげえなあ,トムくん。
そのトムくんにスっと合わせてくるヒロくん。
この呼吸感が素晴らしいっすねえ!
コーラスつけてたのですが,
ヒロくん,なかなか素敵なお声で。
時折顔を見合わせて笑顔がこぼれる。
某曲などは、ほぼフルでやったりと、もーホント早く行っててよかった!!(感涙)
開演時間ギリギリまでリハやってました。
そりゃあもう、みっちりと。


<セットリスト>
まだ赤い
Who
楽(RAKU)
嘆きの雪
生けどりの花
still have us
EN
Run & Ginger


小谷さんが声を発した瞬間。
空気がピリリ,と引き締まった気がした。
すごい。
わかってはいたはずなのに,すごい,しか言葉が出ない。
なんて声をお持ちなんでしょう。
声自体にピンと一本スジが通っていて,
それはもう,恐ろしいほどあっさりと私の中に入り込んできた。
五感がその声に釘付けになる。
時にはとても厳しいことをうたっていることもあるのに,
決して威圧的でも,先導的でもない。
ありのまま,なのだ。
ただそのありまま,が受け取る側にはとても厳しく聞こえたりするのだろうけれど。
小谷さんのうたと声には,真実しかない。
虚飾も方便も,一切ない。
人を羨んだり,傷つけたり,
嘘をついてしまう私,をありのままうたってしまう。
とても潔い。
きっと私が怖い,と感じていたのは,
その潔さに起因するのではなかろうか。
隠したくなること,見たくないこと,考えたくないこと。
それらすべてを,はっきり見据えて,きちんと語るから。
そしてそれを曇りなく伝えるうたを歌える人なのだ。


生で聞いた「嘆きの雪」は殊更衝撃的だった。
感情も,感覚も,歌に同化してしまって,胸がぎゅうっと苦しくなった。
目の前には真っ白な世界が広がり,
伝わらない思いがただそこに降り積もった。
その広がった景色の、
どこまでも続くかと思われるほど遠い地平線と、
その静けさに、ただただ立ち尽くした。
どんだけ深いんだ。小谷さんの心は。


そして!ヒロくん!!
こんなにメロディアスにうたっているベースは初めて聞きました!
ベースって、表現の仕方ひとつでこんなに美しくうたえるんだ、と、
驚くと同時に感動すら覚えました。
なんて言ったらいいのかなあ。
ベース自体がコーラスしてるみたいなんだよなあ。
楽器の性質上、ドラム寄りになることが多いけど、
や、もちろん、曲や、曲の中でも、
その時々によってはトムくんと共に支える側になるのだけども、
すごく、こう、小谷さんの‘うた‘に寄り添ってるのよね。
ガンっと前に出ることはないのだけど、しっかり見つめて、静かに美しい。
そう、エスコートしてくれてるみたいなんだよね。
「WHO」のでだし。これがすごい。
5弦が鳴ってんのかと思った。透き通り具合が。
現場でゾワゾワしたもん。PVで聞いてたのの何倍もキレイだった。
耳に残ってるのは,前述「嘆きの雪」の間奏部分の響き。
胸を締め付ける思いにさらに拍車をかけられて,もー,参りました。
どの曲でも,おおお!!と思うようなフレーズがたくさんあって,
耳が離せませんでした。
目も耳も,心も大忙しって感じで(苦笑)


「still have us」,アンコールの「Run & Ginger」
打って変わって,
水面を渡っていく風のような疾走感と,更なる力強さが。
小谷さんのライブって初めてだったのですが,
こんなに盛り上がるんだー!
と上がってる自分にちょっとびっくりするくらい,
気持ちが引っ張り上げられて,心ごとリズム刻んでる感覚が。
その場にいた皆同じだったんじゃないかな。
すごくこう,場の空気が熱を帯びていくのがわかった。
小谷さん,「こんなに盛り上がってくれてうれしいです!
すごく楽しいです!この気持ちが後ろの人まで伝わればいいなあと思います!」
と。
振り返るとフロアいっぱいに人人人。
通りかかった人までも,皆足を止めてしまうくらい,
いいうたが響き,うたに呼応する心が,
お互い作用して,すごく大きなうねりを生んでたように思う。



悲しかったり,辛かったり,厳しかったりするうたでも,
やっぱり「いいうた」を聞けたとき,
感じられたときって,本当に心から楽しいって思える。
ライブの後に「WHO」購入者特典のステッカーを,
小谷さんご本人からいただいたとき,
「ありがとうございました!すごく楽しかったです!」と
びっくりするほどスルっと,口をついて出てきたのは,
自分をもっていかれるほどの,本当にいいライブだったからだと,思う。
すごく素敵な笑顔で「ありがとう!」と言ってくださったのが,
とってもうれしかたっす。
それと,驚いたのが,握手していた右手,テーピングなさってて。
握っていいのかしら??と若干あせったのですが,
なるべく力入れないように,そっと,握手させていただきました。
この手から,あの力強い曲たちが生まれてるのねー・・・。



あと,印象的だったのが,後半盛り上がってくるにつれて,
タワレコのスタッフさんの顔が仕事じゃなくなってきて,
最後お客になっちゃってたのが,なんだかうれしかった。
やっぱ,音楽好きなんだねー。
いい音鳴ってるとワクワクしちゃうもんね。
そんなスタッフさんもみな素敵で。
小谷さんもトムくんもヒロくんも,とっても素敵でした。
リハ含めほんの1時間くらいでしたが,
とても濃密で,幸せな時間をすごさせていただきました。
また,ライブでお会いしたいです。