君と僕

harikona2013-01-05

と書くと、どうしても
スカパラの{君と僕}を
想い出してしまうのですが。
沖さんステキ。


それはさておき。


奈良美智さんの個展
「君や 僕に ちょっと似ている」
を観に、
青森県立美術館へ行って参りました。
会期中に
青森で何かしらライブあるだろうと、
タカをくくっておりましたらば・・・、
予定立たず、
慌てて終了間際に駆け込むという事態に。
なんかのついでとか言ってんじゃねえぞって、
怒られた感ありありです(苦笑)
すいません。


絵画や彫刻には全くもってうといワタクシですが、
美術館という場所は大好きで。
あの、作品・・・魂に向き合う静謐な感覚というか、
すっと背筋を伸ばして対峙する感じが良いのですよね。
わからないなりに。


奈良さんが描く子たちには、その「目」に、いつも、
はっとさせられたり、わあってドキドキさせられたり、
何を謂わんとしているのだろうと、考えさせられたりと、
直接ことばで書かれたメッセージや、その後ろに流れているであろう音とともに、
なんというか・・・向き合わざるを得ない引力があって、大好きで。


しかも「あと10年は個展はやらない」なんて仰るし、
出身地青森での開催ですし・・・、もう行かなあかんやん、と(苦笑)
それに、青森県立美術館、大好きなんですよ。建物自体が。
白一色で、天井が高くて、窓が大きくて、
また雪に埋もれた姿が、とても美しいのです。



新たに生まれた子たちは・・・、
今までよりもより存在が強くて、
自己を投影するというよりも、
さあ、あなたはどうする?と・・・挑みかかってくるような強さがとてもあって。
向き合っていると、どんどん周りの音が聞こえなくなって、
自分の中から、声が・・・導かれた自分の、か、はたまた誰かのかは、わからなかったけれど、
わんわん鳴ってるような感じがして・・・、
ひとつひとつの作品を観るのに、とても時間を要しました。
それでも、理解できたかは、まったくもってわかりませんが。


時折、随分近しい感じがする子もいましたし、
対極にいるような子もいました。


立体って・・・ものすごい雄弁だなと、
形となった子たちの存在とともに在って、なんだかとても不思議な感覚に陥りました。
本当に、そこに「居る」のです。彼女らは。
特に奈良さんの場合、胸像なので・・・言葉はなくとも、
その顔の表情、照明の加減での陰影のつけ方、作品のタイトルの妙と、
すべてが相まって「話しかけられている」ような気になりまして・・・。
・・・とても親しいような、恐いような。


種々雑多に混在したインスタレーション部屋で、
泣きそうになるくらい、切実に語りかけてくる子がいました。
実際その場所に音が鳴ってた所為も、多大にあると想いますが。
描かれたものに、ここまで気持ちをもっていかれたのは初めてだったので、
・・・かなり戸惑いましたが、納得もしたり・・・。


この個展のために生まれた子だけでなく、
青県美には、たくさんの作品が(あおもり犬含め)がいるので、
常設展も動員して、ものすごい見ごたえのある素晴らしい展示がなされていました。
生まれた時期は違えど、連作として意味を成すものがあったり、
その展示の仕方で、随分と変わってくるものなのだなあととても驚きました。
ソウルハウスの中身が丸ごと変わっていたのもびっくりだったし、
あおもり犬の見え方が・・・何度も観ているのにまるで違っていて。

キッズルームや、図書室、小さい展示室にも、
十和田現代美術館とのコラボに関連したものや、
書籍、一般公募のこどもたちによるあおもり犬の絵や、
期間限定オープンのカフェがあったりと、青県美全体が奈良さんでいっぱいで・・・。
ほんっとに楽しかったです。
あ、ちなみに、
そのカフェでお茶したんですが、渡されたトレーに乗ってた子が「体重計少女」という名の子で、
随分皮肉ってくれたなあと思ったり(笑)

それにしても、
カンヴァスに描かれる時の背景の色。
藤田さんが特殊な技法で使われた乳白色に近いような、
艶めかしいような、聖的な美しさがあるような、
・・・なんというか、女という性が持つ聖性みたいなものが匂い立つような色だなと、
改めて想いました。


以前は自画像としてお描きになっていたということですが・・・。
観ているこちら側としても、ああ、この子の言いたいことは、自分に近い気がする、と、
絵画や彫刻には持ちずらい「共感」を、呼ぶ作品なのですよね。
ご本人が音楽好きということも大きいのでしょうが、
音楽に近い共鳴を、感じるのですよね。
とても不思議です。
なんだかうまい言葉が出てきませんが・・・。


観にいけて、本当によかったです。


美術館って、シアターもあったり、趣の違うステキな部屋がたくさんあるので、
うろうろするだけで、気持ちが動く面白い場所です。
目的がなくても、歩くだけでたのしい。