世界遺産へ

[旅日記]五能線〜十二湖

このブログだのツイッターだのご覧の方は、
あたしの常日頃の行動をご存じだと思いますが(苦笑)
土日はほぼ、ライブか芝居を見に行って不在なものですから、
友人たちはあたしのことを、所謂観光旅行に誘ってはくれないのです。
どうせいないでしょ?と(笑)
・・・あ、嫌われてんのか、ひょっとして??(苦笑)


まあ、それはさておき、
小旅行好きの友人とめずらしく日程が合い、さらに目的地も一致。
あたしは五能線に乗りたい(笑)
友人は十二湖の青池を見たい、と。
一泊二日で行けるしー、ということで、
ふらり、と出かけることにしました。


函館から海峡線に乗り、青森へ。
さあ、さっそく待ってくれてましたよ!
五能線を走る「リゾートしらかみ」!

通常はローカル線のワンマンカーが走っているのですが、
日本海岸線を走る景色がとても美しいため、
週末には、それを売りにしたリゾート列車を走らせてるんです。
観光用車両ということで、窓がデカイ!


風景がよく見えるのはいいけど、
乗っている我々も・・・見られてるんだよねえ(苦笑)
腰から上が丸見えなんすよ・・・。街中走るし・・・ちょっとはずかし(笑)
先頭車両には展望スペースも。


この日は宿に辿り着いて温泉入って眠るだけだったので、
早速ルービーなんぞ飲みながら、きゃーきゃー友人と車窓を満喫。
小雨があがったと思ったら、虹が畑からにょきにょきと!!

こういうことが起こるのが、旅だあね。


一番の絶景ポイントに差し掛かった時、
丁度、夕日が日本海に沈みゆく頃合いでしてねえ!




すいません・・・至らぬ腕で・・・。
もうね、こんなもんじゃなかったっすよ!!!
あまりの壮大さと美しさに、
意外と空席のあった車内で、居合わせた人全員で大騒ぎ!
友人が「(沈む夕日が)ヨード卵光の黄身みたい・・・」と名言を吐くほど(笑)
遮るものが何もないから、
太陽が沈む一部始終が見事に目の前に。
・・・太陽って、こうやって空に鮮やかな軌跡を描いていくんだなぁ・・・・。
この瞬間に立ち会えただけで、呼吸がやわらかくなりましたねえ。


宿は十二湖駅近くのコテージ。
敷地内にいくつもバストイレ付のコテージがあって、
そのほかに温泉大浴場とレストランとフロント棟があるっちゅー、
プチリゾートな感じの施設で・・・。
自分の車でも来られるようなので、
家族連れとか、ちょっと人数多目の友達グループなんかでも、気兼ねなく騒げます。
ただ、周囲に何もないので、
10時過ぎくらいには、なんの音もしなくなるので、かえって目立つかも(笑)
食事は地の利を生かした海&山の幸が満載!

おいしかたーーー(泣)
さらに、
写真には載ってませんが、食後のデザートに出た蜜りんごが絶品で。
しゃくしゃくした食感はそのまま残すようにして、
蜜を沁み込ませてるそうなんですが・・・・・。
もうね、これ食べるだけでも行った甲斐あったっていうくらいおいしかった!
あー、思い出しちゃったよ・・・・。
蜜りんご食いてーーー。


食事の後、大浴場で温泉にまったりつかり、
ほっこり・すべすべになった後、コテージでぼんやり。
コテージ内部はこんな感じ。

一階に居間と寝室とバストイレ、
二階のロフトにもベットと、さらに天窓付きの寝室が・・・。
あのー、二人なんすけど、どこに寝れば??と困惑(笑)
人数分のベット以外使わなければ、どこでもいいらしいです(笑)
結局、天窓付きのとこで眠ることにしました。


世界遺産白神山地の御膝元。
山中にあるこの場所は、あまりに静かで。
光源も無いに等しいので、
月明りが煌々と輝いて、星の光が消されてしまうほど。
音のしない音が、耳にうるさいくらい。
天窓からぼんやり、蒼い月をながめて、何も考えずに眠りました。


さて、翌日。
早起きしてチェックアウト。
世界遺産白神山地の御膝元、十二湖へ。
本当は白神山地に行きたかったんですけど、この時期ではすでに閉山していて・・・。
うむむ、来初夏には行ってやるう。


十二湖は、
江戸時代におきた地震での地盤の隆起や、山の落石等で、
沢がせき止められてたくさんの池ができた、という場所。
かなり広大なエリアの中に33もの池があります。
最初に発見した人が、山の上から見た時に、
池が12個あるように見えたので十二湖と名付けた、らしいです。
観光地ということで、ある程度道は整備されてはいますが、
基本けもの道ですし、高低差も池から池への距離もかなりあります。
もし、たくさんの池を回るおつもりなら、
スニーカー、動きやすい服装で行くことをおすすめします。


池をすべて回ることは時間的に困難だったので、
回れるコースを事前に検討して、いざいざ出発。
宿からトレッキングコースの拠点となる場所までは車で、
その車道沿いに王池、落ち口の池、中の池、落口の池と、大きくて深い池をながめつつ、
拠点からは、てくてくと歩く。



朝の、人間のいない清浄な空気と、差し込む痛いくらいの輝かしい朝日。


最初に辿り着いたのは、「鶏頭場の池」と呼ばれる池。
上から見るとにわとりの頭みたいな形らしいんすけど、地上じゃわかりません(苦笑)
まあ、形はいいとして、
池の面が・・・まるで鏡のように冷たい美しさで・・・。


ため息ひとつ。
初冬特有の立ち枯れた樹々や、空の青がそのまま湖面に写って、
どっちが空かわからなくなる・・・。


池のほとりを歩くこと5分くらい。

次に見えてきたのは、そう、今回のお目当て、青池です。
・・・・あおっ!!(笑)



水自体が青い訳ではないのです。
光の屈折とか、周辺の草や木や、土の色などが影響しているのでは・・・等など、
いろいろな説があるらしいのですが、
何故こんなに青く見えるのか、本当のところは今だにわかっていないとか。
ううーん。
人間なんて、ささやかな地球の一欠片にすぎねえんだよなあ・・・。
なんてことを、ぼんやり思ったり。
観光地として有名になってからは、
展望用のデッキが作られて、池に近づくことができないようにしているので、
驚くほどの透明度は保たれたまま。
池の面に写った木が、
池の周辺に生えているものなのか、
立ち枯れて沈んだ倒木なのか、それすらわからいほど・・・。
泳ぐ魚の姿や、沈んだ枯葉の一枚一枚まで見える程で。
あまりの美しさと、空気の清浄さに小一時間ばかり見とれる我々。
その間にも観光客がひっきりなしにやってきては通り過ぎる・・・。
ものの5分もいない・・・。
みんな、そんなもんなんすかねえ・・・。


さて、続きまして、
結構なけもの道のアップダウンを越えること10分。

沸壺の池に到着。



青池ほどの青さではありませんが、こちらも美しい水色。
大きさは結構あって、常に水が流れて水面に波紋が出来ているのが、また素敵。


その後、車道からは少し離れた池群へ。

この辺りでは、人間が出す音がまったくしない。
私たちが枯葉を踏み踏みしめるカサカサという乾いた音と、
呼吸と少しの会話、
後は、風の音、木々の擦れる音、水音、水面に落ちる枯葉の音、
それらに支配された、とても、にぎやかで、静寂に包まれた場所。


長池


ざあっという風の音の後に、
枯葉がまるで綿雪のように水面に降ってゆく様がとても素敵だった。


糸畑の池は、とても大きく、まるで湖のようでした。
鴨や雁なんかもすいすいと。


他にもいくつか小さな池を回ったんですが、
人の手が入っていないそれらの、美しさに驚くばかり。
また、それぞれに趣が違い、見つける度に新鮮で、
歩く距離や高低差など気にならない程。
・・・まあ、池ばっかり見てる訳なんですが(笑)まったく飽きない。
それに、場所によって群生している木の種類が違うので、
落ち葉の色、木から立ち上る香りが驚くほど変わる。
同じ森の中と思えないくらい。
メイプルの木は、甘いにおいがしたよ。


最後に、再び青池へ。
太陽の光が差し込む角度によっても、色が変わる、という話だったので。
3時間くらい経ってたかな?
確かに・・・朝より、少し青が深い。


またしても見とれる我々・・・・。


無理なく回れる程度しか歩きませんでしたが、
木立に囲まれ、清浄な水の面を眺め、大きく呼吸をして、
それだけで、とてもいい時間を過ごせたなあ、と思います。


山中から、五能線・十二湖駅まで、
季節限定で走っている路線バスに乗ったのですが、
この運転手さんが、また気の利いた方で、
途中、日本キャ二オンと呼ばれる、白い切り立った断崖を眺めることができる場所で、
停留所でもないのにわざわざ止まってくださり、
遠くに、ではありますが眺めることができました。


帰りも再びリゾートしらかみに乗車。

往路で夕景を眺めた海岸線を、今度は日の光が燦々降り注ぐ中進む。



ちなみに車中では、青森弁での地元の民話語りと、
三味線の演奏というダブルイベントで、おなかいっぱい(笑)
・・・つって、くたびれて途中で寝ちゃったんすけど(笑)


夕暮れに霞んで見える、津軽富士・岩木山が美しかったなあ。



久しぶりに、旅らしい旅ができて、
友人ともゆっくり話すことが出来、とてもいい時間を過ごすことができました。
東北は、地場の磁場が強い気がいたしますね。
冬は寒さと雪に閉ざされる分、春から秋にかけて、解放される力が強いのかな。
ぼやん、と歩いててもそう感じるくらいですから、相当かと。
いつもと違う場所、違う空気の中で、
違う感覚を呼び覚ますのは、とても開放感があってよいですね。


また、のんびりどこかへ出かけたいな。