宝塚BOYS、女教師は二度抱かれた

実は、
夜見た「宝塚BOYS」
開演時間に20分も
遅刻してしまいました(汗)
なんと罰当たりな・・・。


昼のコクーンが開演14時で、
上演時間が休憩含め約2時間40分。
クリエの夜の開演時間が17時30分。
・・・間に合う訳がない(苦笑)
ちょっと前までは、週末の公演は、
一日昼夜二公演が当たり前だったんですが、
最近は客の入りが悪いのか、一公演しかやらないカンパニーが多く、
しかも、一公演しかやらないもんだから、
開演時間を妙な時間にセッティングしていることがあって。
あたしみたいに、東京に出たときに一気に見るような人間には、
かなり厳しい状況なんですよねえ。
・・・ちゃんと開演時間確かめないで、
マチネとソワレだからってチケット取ったあたしが悪いんですが(泣)




シアターコクーンオンレパートリー
女教師は二度抱かれた
作・演:松尾スズキ
@渋谷Bunkamuraシアターコクーン
08.8.9


松尾スズキ、原点回帰。
そんなキャッチコピーをつけたくなるような。


いつだったか、動物園にいる動物は、みんな気が狂っている、
というのを読んだことがある。
本来の生態系から隔絶され、常に監視下に置かれている状態で、
食べ、排泄し、眠り、交尾をすることが出来るのは、
正気ではないからだ、と。
フィクションだったのか、ノンフィクションだったのか、
今となっては思い出せないけれど、
なるほど、それは一理ある、と、妙に納得したことを、思い出した。


松尾さんは、
人前で演技をする、という行為はとても恥ずかしいし、
異常な状態である、ということを忘れてはならない、と、
昔よく、エッセイに書いていたり、インタビューでお答えになっていたりして。
今回の作品を見て、改めて、
松尾さんのおっしゃりたいことは、常に変わっていないんだな、と
ちょっとうれしくなってしまいました。


立っている板を踏み抜いてしまうことは、
誰にだって、いつだって起こりうるのだ。
舞台の床は、あまりに脆い。


染さんは、いるだけで華のある役者さんですけど、
ここまで駄目っぷりが板に付くとは思わなかった。
人の言うことにいつのまにか乗せられて、
否、進んで乗っているんだけど、選択を次々間違えて、
坂道をどんどん転げ落ちていく。
そんな姿に、違和感がない。びっくりしました。
そして。大竹しのぶ。恐るべし。
や、もうわかってることなんですけど(苦笑)
踏み抜いちゃった人って、自分のパワーを抑えることをしないから、
常に、独特のオーラみたいなもんを放ってるんですけど、
演技でそれが出せてるのが・・・・。
居るんだもの。そこに、近寄ってはいけないタイプの人が。本当に。
凄過ぎて、正直怖かったです。
べっこさんはー・・・うーん・・・。
めずらしいな、と思いました。
や、いつものべっこさんだったんですけどね、
その「いつもの」が、どうも・・・。
はは、歯切れ悪いなー、自分(苦笑)


近松尾さんはご自分の作品に歌をよくお使いになるけれど、
今回の舞台で歌われた歌は、星野源ちゃんが全部作曲してまして。
これがねえ・・・非常によかった!
特に要所要所で歌われる
源ちゃんと市川日実子ちゃんのデュエットソングがすごくよくて。
今までの源ちゃんの曲にはない感じ。
シャンソンっぽいっていうか・・・、
深い深い夜の闇と、心に沈むどうしようもなさ、が、
しんしんと、迫ってくるような。
これ音源化してくれればいいのになあ。
もう一回聞きたい。
源ちゃんはほんっとにいい声ねえ・・・・。
見に行った日、丁度ベースが伊藤くん(SAKEROCK)だったので、
ちょっと得した気分でした(苦笑)


ラストを見て、思わずニヤリとしてしまった私も、
やはり踏み抜いてしまっている一人なのかもしれない。



「宝塚BOYS」
脚本:中島淳彦(道学先生) 演:鈴木裕美
@日比谷シアタークリエ


最初の方見られなかったので、
なんで彼らが宝塚に入ったのかがよくわからなかったんですが(汗)
あの飼い殺し状態で、よく3年近くも頑張っていられたな、と思った。
それだけ、舞台に立ちたい、芝居がしたいって気持ちが強かったんだろうね。
ちょっと間の抜けたヤツらだけど、
情熱があって、一生懸命で・・・。
全員のこと、とてもいとおしいくなりました。
圭哉が病院抜け出して、稽古場にやってくるシーン。
とてもよかった。
久しぶりに彼に泣かされそうになりました・・・。
ラスト近くのレビュー、とても迫力があって素晴しかったんですけど、
実現しない夢だったんだなって思ったら、なんだかしんみりしてしまって・・・。
本当は、彼らもこうやって、ライトを浴びて、
お客さんの拍手をもらうはずだったのに・・・って。
途中、ほんの少し我に返っちゃって、急に照れくさくなりましたけど(笑)
だってー、あの圭哉が、
タキシードで、羽根背負って、いい声で歌ってるんですもの〜(苦笑)
きっちり踊れてるし、当然歌うまいから、
まったく問題ないんですが・・・・。やはり違和感が・・・(苦笑)
まあ、そんな圭哉に対するなんともむず痒い気持(笑)は置いておくとして、
舞台に上がることに命をかけたのに、
それが報われずに、三々五々別れざるを得なかった、彼らの思い、
ここに姿を現せたことで、少しでも報われるとよいのですけれど。
史実に基づいた物語には、たくさんの人の想いが籠るから、
それだけ、においもくうきも、重さも違ってくる。
いいお芝居でした。