遅ればせながら

harikona2008-02-20

やっと、感想書けました・。




【闇のにおい】
「何か」に
なりたかった少年たちが、
他の何でもない
「自分」に
やっとたどりついた。
そしてそれを、
胸張って言えるようになった。
そんなアルバム。
フジファブリック
「TEENAGER」


志(こころざし)が、
独特な音色と歌いまわしの所為で、
見えづらかったバンドですが、
・・・まあ、そのひねくれた加減がフジの魅力のひとつなんですけれど。
此処へ来て、やっと、その音色で、
自分らをダイレクトに主張できるようになってきた、
ような気がします。
俺が俺が、と、押し付けるような、
うざったいことは、このバンドには出来ないだろうし、
今後もして欲しくはないけれど、
意図的だった変化球が、
彼らにとっての、150km越え直球になった、とでも、言えばいいのかな。
初期の頃,よく言われていた「叙情性」←これ,こそばゆいね(笑)と,
凶暴なまでに表現したいという「ロックの衝動」がここへ来てひとつになった感じ。
そうね、
体(技)と心が、やっと一緒に鳴るようになった、というか。
武者巡業ツアーの時に感じた、今までにないバンドの結束は、
ここに根があったのね。
これを作れたからこその、あの開き方だったんだ。


志村くんのうたが、確信に満ちている。
言葉がすべて、はっきりと届く。
何を歌いたいのか、どう伝えたいのか。
志村くんにとって、フジにとって、世界は、こう見えている,
ということが,少し,垣間見えるようになった。
全部の音が、それぞれ主張しているのに、
ちゃんと歌に寄り添っていることで,
曲がとても,しっかりした印象を受ける。
しゃんと立ってる,っていう感じ。
ずっと聞いてきた自分でさえ、
正直、ここまで、バンドの芯が太いとは、思わなかった。


何もかもが、
今までのようでいて、
今までとは全然違う。
前よりは、音の壁を越えて、音を鳴らしている本人たちに
いくばくかでも、近づけそうな・・・。
そうね。
何故、その音を鳴らすのか。
鳴ってる音の本質が、やっとこさ、少し、見えてきた感じ。


いつまでも答えはでない。
いつまでも問い続けるだろう。
自分に、世間に、もっと大きなものに。
もーね。
今だぐるぐるしてますから、自分も(苦笑)
捕まえられない真実、流れに飲まれたくないと、抗うこと。
過剰な自信、根拠の無い確信、底なしの不安、恐怖と猜疑心。
足下が見えなくなる程,渦を巻く欲望と妄想。
それでも昇ってくる、次の日の太陽。
開き直りといわれてもしょうがない。
いや、開き直るしかないじゃない。
だって、自分で選んで、ここに立ってんだもの。


今まで全然ピンと来なかった「ロマネ」
歌詞読んで,やっとしっくり来た。
うん。いい曲じゃねえか。
見させてもらいますよ。うん。
メロディーが綺麗に流れていく曲が多いし(特に総くんの曲)
フジの特色である変態性が露わになる曲が、
先行シングルですでに耳慣れている、ということも手伝ってか、
(冷静に考えると、ほんっと無茶するなー・苦笑)
誤解を恐れずに書けば、「とてもちゃんとした」アルバムだと思う。
「今まで」を聞いてきた人間だけでじゃなく、
「ここから」知った人でも、
広く、伝わるであろう、粒揃いな全13曲。


このアルバム聞いてから、過去の作品を聞きなおすと、
随分と違った聞こえ方になります。
ああ、志村くんは,こういうことを言いたかったのかな?とか。
こんなとこにも、あんなとこにも、メンバーの音が鳴ってる、とか。
そりゃあ何百回と聞いてるハズなんですけどね。
フジファブリックというバンドに対する見方が変わってきた所為かな。


何故好きなのか?
それがわからないところが好きだったフジファブリック
好きの理由、リクツを並べれば、いくらでもあるけれど、
その理屈の先を行く、芯の部分、
本当にあたしが惹かれているのであろうコアが、やっと見えてきた感じです。
あたしのココロに響く、その、人としての、バンドとしての、力が。
どうやら、
好きでいて、間違いではなかったようです。
こっから、どう歩いていくか。
すごく、楽しみ。

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