ナイロン100℃ 「すべての犬は鎖につなぐべからず」

harikona2007-05-21


作:岸田國士
演:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
青山円形劇場


ばっちしネタバレしまくってます。





ナイロン,生で見るの,ものすごく久しぶりでした。
えーっと・・・ひょっとして「ノーアートノーライフ」以来?
うえー,何年前だよー・・・。
大人の公演に合わせて東京に行くと,
決まってスケジュールが合わないのよね,ナイロンって。


今回はケラさんの新作,ではなくて,
昭和初期の名戯曲家・岸田國士さんの短編戯曲に,
ケラさんがちょっと手を加えて,
同じ町内の出来事として,コラージュ?したような感じ。
いくつもの話が,少しづつ関わり合いを持つようにしていたのが,
すごく入り込みやすくて面白かったです。
7つのストーリーが,見事にひとつの作品になってました。
全部の話が同時に始まって,
全部の物語で同じ時間が流れているけれど,
ひとつの話が完結するごとに,
キチンと終わりました,って合図のようにスタッフロールを出してたのが,
親切設計で、よかったですね。
短編をひとつの公演にしている、という演出的には、
とても新鮮で,面白いなあ,と思いました。
そういや、「労働者M」も二つの話が同時に進行していたねえ。
今回はもっとお話同士が近しい関係だったけれど。
ケラさんって,真っ当な演出もすごくお上手ですよね。
・・・あー,書く話がねじれてんのか(苦笑)


あの辺りの時代の匂いが好きなので,
それだけでワクワクしてみてました。
言葉遣いとかもね,
女性が語尾に「ござんしょ?」ってつけたり,
男性が友人のことを「君」と呼んだり。
昔の日本語って、絶えず相手を尊重しているんだよなあ。
現代には無い、この響きが美しい。
男尊女卑がまだ根強く価値観を左右してはいるものの,
やってることや考えてることは,
今と全然かわんなくて。
話が古いなんてまったく感じませんでした。
いちいちこう,ニヤリとしてしまうような,
いやらしさというかね。
こういう人いるよなあっていう。
時代が移り変わっても,人間の根本なんて,
そんなに変わってはいかない。
だから、
夫婦で大事に大事に,やりとりしながら支えてる,
ささやかな幸福を,
強く叩けばすぐ潰れてしまうような紙風船で表現しているのが,
この時代にも合っていて,素敵だな,と思った。


今回すごく楽しみだったのがお衣装。
豆千代さんが選んだお着物は,どれもこれも,とても素敵で。
ちゃんとその人物の性格を表してて,
みんなとても似合ってました。
特に松永ちゃん!!すごいよかったわー。
ご実家が着物の仕立て家さんっていうのもあるのでしょうけど,
着物を着ての立ち居振る舞いが綺麗。
なんだかんだ言いながらも,
旦那さんを尻に敷いてるしたたかなとこが,気持ちよかったな。
そんな役の性格に似合った,
シックだけど,しっかりした紫と赤で,すごい素敵な着物だったのよね。
すごい好きです。松永ちゃん
ナイロンの女優さんは,みんな素敵で,好きな人ばかりですが,
今回は特に女優陣がすごくよかったですねえ。
そして客演のたまきちゃん!!
もー,なんたる透明度!!でしょう!
また役がねえ,引っ込み思案の尽くすタイプの女性で,
影がうすーい感じだったもんだから尚更。
向こうが透けて見えそうでしたよ・・・。
めちゃめちゃ綺麗だしー。
見とれて,うっとりしてしまいました。
そしてもう1人の客演女優?
じゅねこと植本潤
今回は男性役と女性役,両方おやりになってましたが,
どっちとってもよかったですねえ。
特に「屋上庭園」の時のじゅねは,心に迫ってきて,すごくよかったです。
スーツにキャスケット
いやー,見た目もすごく素敵で。


転換時に井手さん振り付けの,
ダンス・・・と言って良いのかもよくわからんのですが,
が入ってましたが,
まー,ホント,どうやったらあんな動き思いつくんでしょうねえ・・・。
出来る役者さんもすごいけども。
それが不思議と和装に合ってるから驚き。
そこだけ浮くってことがなかったからなあ。


客演陣も多かったし,ケラさんの本ではなかったから,
ナイロン見た!っていう感じはあまりしませんでしたが,
いい作品だったし,見た目も含めて楽しかったので,行って良かったです。


・・・あ,今急に思い出したんですけど,
「ここに弟あり」の中のワンシーンで,おひつが出てきたんですけど,
ありえない色でびっくりしました・・・。
なんかねえ,エメラルドグリーン?(苦笑)だったんです。
あんな色の本当に使ってたんでしょうか・・・?
あんまり鮮やかな色だったんで,すごい気になっちゃって・・・。
ごはん,おいしくなさそうだよー・・・。