LOST IN TIME「時計」発売記念TOUR 2006青森

@青森クウォーター
2006.4.1


出入り口にロストの移動車が止まっていました。
様々な場所へ、メンバーと機材を乗せて走っているその「時間」が
その体に刻まれているようでした。
フロントにスライの「暴動」がのっかってました。
・・・誰の趣味??

それはさておき。

今日のライブは・・・・本当に素晴らしかった。
頭の芯が痺れる程の幸福感を味わったライブは久々です。
それは、単純に大きな声を出して、体を動かして、
普段では味わえない非日常に身を置けるから、というのではなく。
音楽があって、私がいて、それが日常で。
それは、こんなにもあたたかいことなんだ、
あたりまえのことがこんなにありがたくて、うれしいんだ、ということが、
実感として感じられた時間だった、とでも言おうか。


LOSTの歌をきくと、
至らない自分、卑屈でどうしようもない自分に悲しくなって、
いつも涙が溢れてしまうのですが、
今日の涙は、いつもの涙とは間逆の、
とてもあたたかい、うれしさのあまりにこぼれた涙だったのだと思います。
今まで、涙が溢れる歌は決まっていて、列車、証し、線路の上辺りだったのですが、
今日は驚いたことに、未来の輝きに満たされた、はじまりと羽化でした。
なんて自分は幸せなんだろう、こんなあたしでも歩けているんだ。
LOSTのライブに来れてるんだ。そう思ったらうれし過ぎて、涙が。
後押ししたのは、紛れもなく、えのもっちゃんのギターが歌う音、でした。

今のLOSTは、もう次へ進んでいます。
ヤバイです。野音。すごいことになりそうですよ。

あ、そのえのもっちゃんですが、髪の毛、金髪メッシュになってました。
はい、かっこよかったっす(苦笑)


本日のゲストは、八戸でもお世話になった、クリープス。
10年、地元で歌い続けたからこそ見える景色、思うこと、話せる言葉。
ひとつひとつが、やわかい重さで伝わってきました。
新曲「ラストソング」
静かな決意が語られる、素敵な曲でした。
良いうたに惜しげもなく、素直に素晴らしい、と言える心が、
素晴らしいです。
これからもよろしくです。


<セットリスト>
1 証し
2 花
3 柊
MC
4 一つだけ 
5 列車
6 秘密
7 残像
MC
8 はじまり
9 線路の上
10 ココロノウタ
MC
11 ヒカリ
12 約束

EN
13 羽化
14 手紙
  

いつものように、3人がっちり握手を交わす。
・・・ぴんと張り詰めた空気が漂う。
今日は少し、いつもより緊張感に厳しさがあるように感じた。
客席からどよめきの声と大きな拍手。
お?LOST 初の方が多いのかしら??
うふふ。うれし。

LOST IN TIMEです!・・・証し!」

1 証し
音が鳴った瞬間に鳥肌が立った。
こんな感覚は初めてだった。
いや、もちろん、楽しすぎでぞくぞくすることや、
鳴ってる音がゴキゲン過ぎてぞわぞわすることは、
いろんなライブで経験したけれど、
今日のはそれのどれとも違う。
なんて言えばいいんだろう・・・。
あからさまに今までのロストとは違う音が、意志が、
私を圧倒した。
2人の動きと音を確かめながら、しっかり力強く刻む源ちゃん。
あまりに美しく、それを失うことなく、激しく突っ走るえのもっちゃん。
そして、ベースまでもが歌っているような、
真摯で熱い、海北くんの歌。
3人とも、まったく変わってない。変わってないのに、
何かが全然違う。
そう、確実に次へ、向かっているんだ。
動くときが来た。そんな感じ。
その、3人の意志が鳴らす音に、ぞくっとしたんだ。
覚悟を決めたのもが発する、すさまじい気。
青白い炎の揺らめき。
その熱さと、美しさと、激しさに、
目が離せないほど、耳が離せないほど、体全部が、惹きつけられる。
自分を責めて、許しを請うて、泣く暇はなかった。
あまりにも、強く、
どうにもならない私をも巻き込んで、
LOST IN TIMEは、今、次へ向かおうとしている。
すべてを肯定して。


2 花
まだ多少、気持ちが先行している感が在りはするが、
ものすごい勢いがあって、体がどんどんもっていかれる。
でも決して勢いだけで突っ走っている、というのではない。
情熱は思いっきり沸点なんだけど、
見据えて鳴らしてる、というか。
歌を伝えるための演奏であるということを、バンド全体の意識が鳴らしてる。
当り前で、一番難しいであろうことを、
今の3人は、各人の意志も尊重したまま、
ひとつになって、やってのけている。
・・・これは。すごいです。
もう二度と、あの日と同じ花は咲かない。
今のLOST が鳴らすと、あの日よりも、もっと美しい花を咲かせるための、
過去があり、今があるのでは、と思わせられる。
花の種をそのまま引き継いで、
あたたかい土に眠り、水を飲み、日差しを受け、
きっと明日は、あの日よりも、もっと大輪の、美しい花が咲くのだろう。
歌が、DNAを引き継いだまま、新しい命を持って、響いている。
これだけ確たる意志をもったバンドになっても、
歌の持ってる初期衝動を失うことなく、叫ぶことが出来るボーカリストと、
弾けるギタリストも、そういないのではないだろうか。
青いままで、その先をも見据える力強さが、あたしの体を揺さぶる。


3 柊
前2曲にあった、少し硬かったような、気負いがあったような力みが取れて、
音に透明度が増す。
えのもっちゃんの音が響いた瞬間。
冬の冴えきった風の音がした。 
キュンキュンキます。あたしの心に。


海北くん。こんだけのライブ打ってても、声が枯れるどころか、
益々届ける力が強くなっている。
確かに高音や、がつんと張ると掠れたりしますが、
耳に聞こえる音ではなく。
一言一句、言葉に篭った、後悔と悲しみと、決別が、
屑々と心に響き渡る。
なんと強い、歌声なのだろう。
タバコも酒も、気にしてないんだよね?(苦笑)
君は山崎まさよしか?(笑)


それはさておき。
きっとこれは、彼の意識が出させている声なのだろうな。
その声に乗せている意志の強さ、と、
それを受けようとする、オーデイエンスの意識が産む、
全部が一つになるような感覚。

もう、なんだか、すげー・・・しか、言い様がなかったです。


ラスト♪柊が小さく揺れている〜♪のところの、
えのもっちゃんの美しさは、それだけで、悲しさが募る音で。
そう、あたしがこの曲にこだわるのは、
この、美しさなのかもしれん。
悲しみも、後悔も、ずるさも。
どこかに繋がっていけるのならば、昇華できるのではないか。
そう、思える煌きが、彼の弦にやどっているように思うのです。


MC
「どうもありがとう!!」
「・・・・学祭(青森中央学院大学 学園祭・H17・9・18)以来だから、
はじめましてではないとは思いつつ・・・。
青森クウォーターは、はじめまして!LOST IN TIMEです!
はじめての場所ということでね、
今日はアルバムのレコ発ということではあるんですけれど、
新旧取り混ぜて、昔の曲もどんどんやっていこうと思っていますので、
最後まで楽しんでいってください!よろしくお願いします!」


4 一つだけ
生では初めて聞きました。
びっくりしました。
まるで違う曲に聞こえて。
アレンジはそんな変えてないのだと思います、が。
なんだろう、意味が、言葉の意味が、
直接聞いた事によって、どんどん広がっていくというか、
もう、おっつかない。
今までの感覚では、今の3人に。
だからといって、置いてけぼりを食うのではなく。
押し付けるのでもなく。


LOST IN TIMEというバンドは、本当に不思議なバンドだ。
リスナーとの距離がとてつもなく近いのに、
やっぱりとてつもなく遠い。


ちょと前の曲を聞くと、
ああ、やっぱり今に繋がってるんだなあ、なんて、思ったりします。


5 列車
この曲は、LOST にとって、特別な歌なんだろうな。
ライブで聞くたび、気合の重さが違うから。
・・・あたしもこの歌は特別です。
言葉の一つ一つが、全部、つき刺さる。
それはもう百発百中。
ただ、「あの頃は良かった」と思うことは、あまりありませんが。
自分に対する後悔は、きっと楽しいを上回るくらい、常にしてるけれど、
血まみれ泥まみれでも、今が一番、マシに立てているとは、思えてるので。
皆のおかげで。


えのもっちゃんのギターが響く前から、
ああ、やべえ、きちゃうぞー・・・・・。と、
既に泣きそうだった自分。
でも、実際、ぎゅうっと苦しくはなったけれど、涙は出なかった。
それはきっと、今のLOSTの陽の気の凄まじさが、
後悔のあとの景色を見せてくれたからなのかも知れない。
海北くんの線路の継ぎ目の心地よい振動、源ちゃんの枕木の規則正しい呼吸。
永遠に続くかと思われるような、荒野に伸びる、
錆びた線路の、その先を。


でも、でもだよ。
だからこそ、あの頃は良かったといいたくなかったのに、
という言葉が、ひどく苦しく、悲しい美しさで響く。
これからは、変えていけるけれど、
過去は変えられないのだもの。
絶叫のようなえのもっちゃんのギターソロ。
そして、そして。
あなたの目には、どんなあの頃が、映っているのでしょう?


すでに、声に出すカウントは必要なくなっていました。


6 秘密
体ごと、跳ねながら小気味よいえのもっちゃんと、
がっしりしたリズム隊に、自然に体が動く。
ちょっと前までは、歌の意志と、歌い手の意志の重さに、
それに答えられない自分の不甲斐なさに、
彼らを前にしても、微塵足りとも動けなかったのだけれど、
初めから負けを決め込んでいるようなところがあったなあ、と気づいてから
(去年の札幌ROCK GO AROUNDがデカかったな)
思想家ではなく、音楽家なんだということを改めて意識してから、
頭ではなく、体で聞けるようになりました。
すくなくとも、ライブでは。
海北くん・・・。
ベース、相変わらず弦切りそうなくらいに弾いてますが、
なんか、前より、安心感があるなあ。
しゃんっと、居る感じ。
でもこれって、きっと、源ちゃんのリズムが、曲を守るというよりも、
弦二人を守っているように響いているから、なんだなあと、今更ながら思った。
時として、突っ走っちゃう彼らのバランサーであったり、
逆にぐいぐい引っ張っていくことがあったり。
この曲は、出だしが海北くんと一緒に歌っているように、
打楽器なのにメロディーを奏でているようで、
源ちゃんがいかに大切に、刻んでいるのかが、よくわかります。


7 残像
曲が始るたびに、新鮮な驚きがあって、
なんだかもう、いちいちうわあ!って言ってた様な気がします(笑)
若干早い。鼻毛一本くらい。今日のLOSTのBPM
熱くて、胸が高鳴って、とても、心地いい。泣きたくなるくらい。
当然ね、土地も違えば、ハコも違うし、来てるお客も、彼らのコンデイションも、
ここにいるあたしのちょっとした気の浮き沈みも、
全部が作用して、今日この時間に鳴らされている音があるから、
毎回まったく違うのはもちろんそうなんだけど。
うまく説明できないけども、本当に、今日のLOSTは、
まるで違うバンドかと思えてしまうくらい。
それは会場にいたお客に、確実に伝わっていたと思う。
一曲一曲重ねていくごとに、
拍手と歓声がどんどん大きくなっていて。


伝えようとする想い、それを伝えることが出来る力。
覚悟と決意。
今まさに、すべてがカチリ、とはまって、回りだしたような感じ。


思わずえのもっちゃんの足元ばかり見てしまう。
ペダル使い絶妙。
今日のどの曲でも思ったことなんだけど、
ソロ弾いてる時の感じが、すごいやわらかくなった。
決して甘いやわらかさではない。
なんと言おうか、曲の為に、大事に大切に、一個一個の音を鳴らしてるというか。


出だしと最後の、ギターとベースの役回りが逆転してるとこが、
すごい好きです。


MC
「どうもありがとう!」
海北くん、息が荒い。全部で、歌ってます。
「・・・ツアーを2月からまわり始めて、後半もう後残りわずかになってきて、
暖かくなるのを待って、北にやってきたわけですけれど、
まだあちこち雪が残っていて、日本の広さを痛感しながら、ツアーをまわっておりますが。
本当に、東北の雰囲気は、なんて言ったらいいのかわかんないすけど、
とにかく大好きで。
その街その街でね、やっぱりちょっとずつ違うんだけれども。
本当に感謝してます!どうもありがとう!」
「・・・嘘のひとつでもつけたらいいんだけどね・・・。エイプリルフ−ルだし。
・・・・(しばし悩む・笑)・・・思いつかねえや(苦笑)
・・・まあ、ホント、いい旅回れております!
これ嘘じゃないっすよ!!!(笑)
本当にいいツアーが出来ていて、このまましっかり野音までやりきりたいと思います!
その日にね、ひとつ、始めたいと思っていることもあるし、
その日から、もしかしたらLOST IN TIMEが、ひょっとしたら、
ちょっとだけ、脱皮してるかもしれないし。
・・・・あのー、きっかけなんてね、ほんの些細なことだったりするの。
ただ、あなたが始るか、それをあなたが見落とすか、
そのどっちかだと思う。
共に、何かを、始められたら。
そういう曲を歌います。」


8 はじまり
正直この曲、苦手だったんですが・・・。
輝きに満ちすぎてて。
しゃっきり前を向いて歩けてないっていう、後ろめたさが、
この曲に向かうときに負い目になってて。
ここ最近です。やっと笑顔で聞けるようになってきました。
昇ってくる朝日は、本当に美しいなあ、と思えるようになってきたからかな。
そう思ったら、朝、会社で交わす「おはよう」の一言が、
なんだかすごく、大事に思えてきて。


そのこと全然意識してなかったんだけど、
今日この曲を聞いたら、急にわかって。
ああ、あたしも今日を、はじめることが出来てるんだなあって思ったら、
それがすごくうれしくて。泣けてしまった。
うれしい涙が流せるって、まだまだあたしも捨てたモンじゃないかも。
音楽聴いて、こんな気持ちになったの、初めてです。


後悔と反省と、空虚に。
取り返せない、あの瞬間に。
今日の涙は、そんな自己批判のために流れたものではなかった。
ああ、こんなんでも、こんな生き方しかできてなくても。
朝は、はじまりは、やってきてくれるんだ。
そう、思ってしまう、私のところにも。
なんと辛いことか。
なんと、ありがたいことか。
廻る時間は、とてもやさしく、とても残酷だ。
でも、それでも、「今」の「次」は確実に訪れる。
生かすも殺すも、自分次第なのだ。


歌いながら、時折笑顔がこぼれる海北くん。
この歌って海北大輔そのもの。
けれど、ライブという向き合う場所では、
自分だけで「限りない夢を見てる」のではなくて、
ここにいるあなたとともに「限りない夢を見よう」と歌ってくれる。
彼の懐の深さは、どうやって培われたのだろう。


えのもっちゃんが本当に綺麗。
済んだ空気の中で、見上げた太陽から降り注ぐ光のように。
Aメロは、あれは右は弦を弾くというより触っているだけなんすねー。
触ってる?・・・いやー、見てた限りでは押さえてるというか。
どうやったら、あんなに美しい音が弾けるんでしょうか??
楽器も、楽器と共に生きている人たちも、ホントにすごいなあ。
その音ひとつで、色も景色も描けるなんて。


9 線路の上
どんどん勢いが増してくる、歌と音。
まさしく、ロックがガンガン転がってる感じです!
もうほんとに、皆、音につられるようにコブシが自然と上がる。
歌詞につられて今来た道を振り返ることなく、
音に引っ張られて、これから行く先に向かって。
これが、えのもっちゃんが言っていた、踊れる音、なんだな。
心ごと、踊ってしまうような力強さとあたたかさ。


ラストのコーラスの掛け合いが、すごいいい。
2人とも、とても大切に歌っていて。
思わず一緒に歌ってました。


10 ココロノウタ
まさしくココロノままに。
「うた」から、歌詞には一切ないのに「ありがとう」がきこえてくるなんて、
LOST IN TIMEだからできること。
それが今の、LOSTの、「ココロノウタ」なのだろう。


MC
えのもっちゃんがずっと、低く鳴らしています。
海北くんの声に、寄り添うように。
そしてそれに答えるように、弦を鳴らしながら、話す海北くん。
「生まれた街があります。
育った場所があります。
どうやっても嫌いになることができない場所です。
知らないことは、時として残酷な結末を生んで、
知ってしまったが故、悲しい最後を迎えてしまうこともあります。
ただ、どんなことがあっても、
僕はきっと、あなたがいる街を嫌いになることはないと思うわけで。
あなたが知らず知らずのうちに作るきっかけや出来事を、
僕は感じながら、歌を歌いたいし、
僕が歌う歌が、あなたが踏出す一歩の勇気になればいいと思います。
ヒカリ」


11 ヒカリ
すべてを開け放つような音に、ヒカリが満ちる。
朝日が、はじまりのヒカリが、すべてを包む明るさで満ちる。
ああ、なんてあたたかくて美しいんだろう。
なにかが起こせるような予感に満ちた光が、私たちすべてを包む。
ただ、ここに居られる事が、楽しくて、うれしくて。


・・・どうもLOSTに対しては、観念的な言葉しか出ませんね(苦笑)
スネオさんとは別の切り口で、いろんなことを気づかされるのですよ。
彼らの音楽は。
それは、忘れがちな、一番シンプルで、あたたかい気持ち。
普段なら歪んだ性格もあいまって、ナナメに見がちなそういう気持ちを
素直に受け入れられるのは、
彼らの歌は、同時に後悔も悲しさもきちんとうたっているからだと。
それも血を吐くように赤裸々に。
だからこそ、「暗」を否定しないからこそ、
「明」はこんなにも、輝きを放つのです。
そういう歌い手は、信用できる。


12 約束
「今日はどうもありがとうございました!次で最後の曲になります。
また、会いましょう。
再会を約束して最後は「約束」で終わります。
本当にどうもありがとうございました!」


忘れてしまう、忘れてしまいたい。でも、忘れたくない。
辛いことも、悲しいことも、どうしようもないことも、
拭い切れないなにかも、
うれしかったことも、たのしかったことも、感じたあたたかさも。
全部背負って、歩いていこう。


そう、歩く場所は違えど、
きっとどこかで、また会えるから。


「どうもありがとうございました!」


EN
3人が去った後、
近くに居た高校生と思われる男子二人組が、
「やべー!すげーよ!!」と興奮して話していたのがすごい耳に残ってて。
ねえ?すごいよねえ、このバンド!
うれしいなあ、こうやって、どんどんいい音楽は広がっていけるんだ。
10以上違う君らとあたし。
生きている環境も、抱えてるモンも全然違うけれど。
それでも、心の根本に響く音楽は、ここにこうやって鳴らされている。
そしてそれに感動して、心が揺さぶられて。
ライブって、本当に素晴らしい。


どうだい?君らもギター持ってあそこに立たない?
そしてあたしの心を揺さぶってくれない??
なんちて。


大きな歓声とともに、3人が再びステージへ。
海北くん、えのもっちゃん、源ちゃん、深くおじぎ。
アンコール、というものが、当り前になりつつある昨今。
こんなに出てきてくれてうれしかったことも、ないかも。
予定調和は、感情の高ぶりを感動に変えることはできませんから。


「・・・半年以上ぶりだね。青森に来るのはね。
半年か?丁度それぐらいだと思うんですけれど。
前きた時も、実は僕、ベースアンプ持ってなくて、
あのー、前,大学の学祭に来た時もクウォーターのお店から、
わざわざベースアンプ持ってきてもらって、
借りて演奏したんだけれども。
今日もね、借りてるんですけれど。
・・・何が言いたいかって言うと、こういう歌える場所、
まあ、どこでもいいって言えば、どこでもいいのかもしれないけれど、
こうやってライブハウスが在ってくれることで、
僕達バンドも歌いに来ることが、より、出来易くなったりするんでね、
本当に感謝してます。クウォーターに大きな拍手を!
ホントにどうもありがとうございます!
それからクリープス!
・・・今は・・・「S」付かないっすよね?(笑)
ひとりでやっているとはいえね、
そのバンドの名前をひとりでもしょって歌い続けるっていう、その姿勢が、
僕はいつも素敵な先輩だと思っています。
10周年おめでとうございます!!これからもよろしくお願いします!」
この辺りからえのもっちゃんが弦を爪弾きはじめる。
「そして、何より。
ホントに今日は、これだけたくさんの人に集まってもらえて、感謝してま・・・ます!
か、噛んじゃった(苦笑)
・・・えー、感謝しております!あなた自身に大きな拍手を!どうもありがとう!
・・・・噛まなきゃよかったのにね(笑)」
「ということで、あとちょっとだけ、演奏させてもらいます。
この曲から。・・・羽化」


13 羽化
とても潔く、力強い決意のうた。
それも無理にではなく、自分だけのあきらめではなく。
あなたが、この世界が、そう在ってくれるから、
こうやって、いろんなものをここに置いて、
無くしたものにも手を振って、
きっとある、その先の少しでも明るい何かに、歩き出せるのだ。
対個人だけではない大きさが、このうたには満ちている。
そう、時間の大きな流れの中で、人間が流されず生きていく術は、
きっと、ほんの少しの気づける努力(それは、あきらめと近いかもしれない)と、
いたわりと、信じる心。
少しの気配り。
そんなに難しくない、一番近道な、少しの想い。
それらを感じることができるのならば。
ほんの少しでも、心が何かに気づけたのならば。
このうたのように、ささやかながら、
誰かを包める美しくあたたかい羽根を広げられる。


今日の羽化を聞いて、私にもそんな羽根があるような気持ちになれたんだ。
まだまだ努力が足りないけれど、
きっと広げることができるようになる。
そう、思えた。


えのもっちゃんの美しさが、景色も意識も、輝きに変えてしまうようで。
そして、海北くんが、すべてを肯定するうなずきのように、静かに音の時を止める。


14 手紙
「ありがとうございました!また会いましょう!「手紙」」
心の底から、なんの掛け値もなしに、他人の幸せを思えた時、
そう思えたことによって、きっと自分も幸せになれてるのだろうな。
海北くんの笑顔を見ていて、そう思った。
この曲が鳴ってる間は、真剣に曲と向き合っているこの時間だけは、
あたしも、同じ笑顔が出来てますように。



以上、青森クウォーター。
非常にうざったくてごめんなさいねえ(苦笑)
ものすごいたくさんのモノを受け取って、たくさん考えて、
笑顔になれた素晴らしいライブでした。
LOST IN TIMEはこんなにたくさんの素敵な歌たちを携えて、
また、新たな旅に出て行くんだね。
たくさんの想いを届けて、たくさんの想いに答えて。
確実に、一歩一歩、迷わず前を見据えて。
また次に会えるときは、ちょっとだけ幸せな自分になれてますように。