不思議なものなど

映画「姑獲鳥の夏」を見てきました。
関君が永瀬正敏って、ちょっと健康的過ぎやしねえかい?
なんて心配は、やはり、無用でござりました。
変幻自在なお方ですね・・・スバラシイ。
マイクのイメージが強いからねえ・・・。
でも、ある意味一番ヤバイ関くん以外の何者でもなかったです。
そしてそして!京極堂!!ステキ!!
あの偏屈古書店陰陽師を見事に表現されてました!堤さん!さすが!
新感線で野獣郎やった時も、TPTで殺人鬼やったときも、
この人いったいどんな人なんだと思うくらい、
役によって全然違う人になっちゃう堤さん。
あの京極堂にすらなっちゃうんだもんなあ・・・。
原田知世さんもすごくよかった。
見た目の変化を大きくしていないのに、中身が変わったことが空気でわかるというか。
においたつような美しさの中の、暗黒に渦巻く狂気。
・・・怖かったよう・・・。
しかしあのお顔から「ク○ババア!」という言葉が出るとは・・・驚きです。
言っても下品じゃないとこがすごいよな。

それにしても、京極さん・・・(苦笑)
普通に芝居できてるもの!違和感ないもの!
まあ、あの世界をおつくりになった方ですからねえ、
馴染めて当たり前なのかも知れないけども。
「怪」の時も当たり前のようにいらっしゃって・・・。


それにしても、めまい坂といい、古書店京極堂といい、
稀譚舎といい、久遠寺医院といい、美術がスンバらしいのよ。
小説読んでるときはおぼろげに想像していた建物や風景が
そのまま目の前に現れた感じだったなあ。
あの昭和20年代の、何かが潜める影がそこかしこにあった色が、
あたし好みのステキさで映し出されていて、一気に引き込まれちゃった。
大好きなんだよね、あの不可思議なことが、日常と同居してる感じ。

自分の常識、この足元がぐらつく、というか浮いたような感覚。
初めて読んだ時の衝撃はすごかったっすね。
本当に世界がゆがんで見えたもの。
京極堂が語る世の理。
あると信じて疑わないものが、そこには無いのだとしたら・・・。
心底ぞっとした、あの感覚を、映像になったからといって失って欲しくなかったけれど、
あれだけの情報量を2時間で収めなきゃならない訳だからねえ・・・。
・・・なんて心配がちょこっとあったのですが。
原作の匂いと、骨子はきちんと残したまま、
見事な娯楽作に生まれ変わっていて、
これはこれで、非常によかったです。
お見事!


京極宅で食卓を囲みながら、関くんに
「千鶴子さん、君に愛想つかして出てっちゃったんじゃない?」
なんて言われて、
「雪枝さん(関くんの奥さん)が我慢できてるのに、
うちの千鶴子が出て行くわけ無いだろう」
と狼狽の体でいる京極堂が非常に愛らしかったですな(笑)