新感線「五右衛門ロック」 長塚圭史「SISTERS」

劇団新感線
新感線☆RX「五右衛門ロック
作:中島かずき 演:いのうえひでのり
新宿コマ劇場
08,7,26 マチネ


さすがは新宿コマ。
入り口には
出演者の名前ののぼりが。

コマ劇場、今年いっぱいで閉館だそうですね・・・。
もったいない。
老舗だけあって、趣があって、芝居見に来たぞ!って気にさせてくれる、
いい小屋なのになあ。
会場内でお弁当食べたり、お酒飲んだりできるのも楽しかったし、
舞台の装置もすごくて、見ごたえあるし。
・・・うう。切ないっす。


古田新太が主演、
劇団員(ほぼ)総出演、
初・新宿コマ劇場
題材は石川五右衛門。女好きの義賊。
ちゃらんぽらんなようでいて、義理に厚くてむやみやたらと強い
いやあ、久しぶりに「あたしの見たかった新感線」でしたねえ!
お話しっかりしてて、ちょっと切ない感じのハッピーエンドで、
おバカもあって、歌があって踊りがあって、殺陣がかっこいい(ここ最重要)
ちょっと「スサノオ(神の剣〜)」思い出しちゃったなー。
思い出させるような台詞もチラリと出てきたし。
お決まりのあれやこれやもたくさんあって、
ほんっと楽しかった!見てる間中、ワクワクしっぱなしでさあ。
まあ、主役級の人が多過ぎるきらいもありましたけどね(苦笑)
見せ場だらけで、若干主役の出番が少ないし(笑)
でも久しぶりに、なあんにも考えずに楽しい!って気持ちになれました。


やっぱりふるちんはかっこよひ☆
見得なんか切られちゃうと、きゃーー!!って言いたくなる。
なんなんでしょうね?あの色気は。
出てきただけで、ふるちんだってすぐわかる。
あんなに花がある役者、なかなかいないよなあ。
森山未来くんもかっこよかった。
彼は踊るように殺陣をするのね。手足のさばき方がとてもキレイ。
ミュージカルスター、歌も当たり前にうまいし、
一挙手一投足、いちいち惚れ惚れします。
松雪泰子もかっこよかったー。バリバリ峰不二子で(笑)
聖子ねえさんとのお色気対決、素敵でしたわー。
今回のゲスト陣で一番すごかったのが、川平慈英さん。
キャラ強烈すぎ。やりすぎなくらい。
ジェイさんって、いっつもパワーに溢れてるから、
どの芝居にいても、ちょっと浮くんですけど、
新感線ならジャストフィットですね。
遠慮なく全開だったんですけど、
何の問題もない・・・むしろハマリすぎて、劇団員のようでした。
あの強力キャラ、右近さんに輪をかけてうさんくさくて(笑)
このコンビ最強でした(苦笑)笑い死ぬかと思った・・・。


粟根さん、
最近は悪党のしょぼい二番手、みたいな役ばっかりだったんですけど(笑)
今回は久しぶりに殺陣いっぱいあったし、結構強かったし、
最後まで生き残ってたし(笑)すごいうれしかったっすねー。
刀のさばき方が本当にかっこよいのですよ。この方。
心の中できゃーきゃー言いまくってしまった(笑)
序盤、何回かガヤで出てはったんですけど、
台詞あったからすぐわかった。相変わらずよく通る声でらっしゃる(苦笑)
秋にいのっちとやる舞台も楽しみ。
IZOに始まり、3月のリリパもよかったしなー。今年は粟根さんづいてるなー。



パルコ劇場プロデュース
「SISTERS」
作・演:長塚圭史
渋谷PARCO劇場
08,7,26 ソワレ


すごいよかったです。
おかげでものすごい疲れましたけども(苦笑)
いい芝居観ると、息するの忘れちゃうんだよねえ・・・。
微動だにしないから、体強張っちゃうし。


長塚くん、少し作風変わりましたね。
いい意味でわかりづらくなった。
客に委ねる部分が多くなった、と言えばいいのかな。
いままでの作品では、言いたいことわーーって言われて、
その内容の濃さと重さに圧倒されて疲れる、みたいなとこあったんですが、
や、濃さと重さは相変わらずなんだけど(苦笑)
直接的に言わなくなった、というか、説明しすぎなくなった、というかね。
台詞からの情報量が減って、目に見える動きや色や画から、
言いたいことがにじみ出るような感覚。
隅々まで目が離せない、思考を止められない。
だから疲れる。
でも、直接言われないからこそ、
経験とか、記憶とか・・・傷とかを、自分の中から引っ張り出して、
それらと比較したり、参考にして推し量ったりしながら、
目の前に起きてることを理解しようとするから、
物語に入り込む度合いが、格段に違う。
今の長塚くん、すごくいいと思います。


今回の物語は・・・。
自分の抱えてるもんと、すごく近い部分もあり、
理解できない部分もありで・・・。
うーん。
正直、主人公に光が見えたのかどうか、あたしには判断しかねる。
あまりいい方には、感じなかったけれどね。
あの「はい」は、すごく難しい。
あー、でも、夫のあの言葉に「はい」って言えたことが、光、なのか・・・。
傷を越えるために、隠すのではなく、自らでその傷を暴くこと。
忘れるのではなく、自分なりに消化していくしかないこと。
抱えきれない痛みがあっても、人との係わりを絶つことはできないし、
痛みを与えられるのも、それから救う手助けも、その関係が行うのだということ。
・・・うん、そうなんだろうな。
理解はできる。
だが、向き合うのは・・・・やっぱり難しいです。


今回の出演者、何度もいろいろな舞台で拝見してる方ばかりだったんですが、
皆さん、見たこと無いような姿を曝してて・・・。すごかったですね。
出さざるをえなかったんだろうなあ・・・・。
特にお松さん。
あんなに弱さを出せる方だと思いませんでした。
この方の舞台立ってる姿見ると、いつも圧倒されるんですけど、
今日はお松さんが、というよりは、
役の馨さんの、囚われているものから脱却したい、
生き抜きたいという、力、に、圧倒された感じ。
杏ちゃんのあんなに激しい姿も見たこと無かったし。


・・・はあ。疲れました(笑)
この感覚がいいんだよね。
足元がおぼつかなくなる、価値観が変わっていくような、
この感じてたもののにおいが変わる、感覚。
怖いけど、そういう風にとらえることができる自分に、ほっとするというか。
松尾ちゃんや本谷の芝居観たときも、こういう感覚に陥るんです。
こういう芝居観た後って、
電車乗るのがねえ・・・気持ち悪いんだー(苦笑)
人が近くに、こんなにたくさん、得体のしれない感情を抱いているってだけで、
ぞっとしちまう。