小林賢太郎・ポツネン「Drop」


Kentaro Kobayashi
Solo Performance Live Potsunen 2008
Drop
@札幌・かでるホール
2008.3.29 マチネ



初・生ポツネンでした。
いやあ。
DVDは、正直、ラーのものより見てるかも(笑というくらいのリピート率なんですが。
どっち贔屓ってえのは、特に自分の中ではないんですけども、
この空気感。
かなり好きで。


笑いに関しては、
力技(差別とか、自虐とか、人をおとしめるようなもの)よりは、
緻密さや、繊細さ、構築されたものの方が好きですので。
表面だけではなく、
その裏が見え隠れしているものが、
どうしても気になっちゃうんですわ(笑)
やっぱりね、両面を表現しているものじゃないと。




以下ネタバレ。




drop
[名詞]
1 しずく, したたり
2 1滴, 滴量、少量, 微量
3 落下, 降下, 落下距離, 深度、低下、急な坂, 急斜面
4 落下傘(さん)部隊;落下傘降下;(物資の)空中投下.
5 *1点滴薬, 滴薬;点眼薬.
6 あめ玉, ドロップ
7 しずく状のもの;耳飾り, ペンダント(の宝石)、たれ飾り, 露玉飾り.
8 中央貯蔵庫, 主要集配所
9(郵便箱などの)投げ入れ口, 落とし口.
10 絞首台;(絞首台の)落とし戸式の踏み台.
11 *2(秘密情報・密輸品・盗品の)隠し場所.
12 《劇》たれ幕(drop curtain);最終場面(drop scene).
13 《ラグビー》ドロップキック(drop kick).


[動]
1 (高い所から)落ちる;〈人が〉飛び降りる;
 〈道路などが〉急な下りになる;〈花が〉散る
 〈液体が〉ぽたぽた落ちる, したたる;〈雨などが〉ぱらぱら降る
2 〈人が〉(床・地面などに)急に倒れる, うずくまる, 沈む
3 (程度・状態・価値などが)(…から;…まで)下がる, 落ちる,
  下落する, 減少する, 〈声が〉低くなる*3.
4 (視野から)消える*4
 (…から)手を引く, (…を)おりる, やめる*5
 〈事が〉終わる;〈文通・会話が〉途絶える
5 ちょっと立ち寄る, ひょっこり訪れる*6
6 (川・丘などを)下る, 流れる*7.
7  くたくたに疲れる, へたばる.
8 〈言葉・ため息が〉(…から)ふと漏れる*8.
9 〈動物の子が〉生まれる, 産み落とされる.


・・・・。
これだけ意味が広いとはね・・・。
これだけある分、コントの数も最多でした。


前二作に比べると、
若干ライトなコントが
トントントン、と連なっていくような感じ。
切なさとほんの少しの恐怖感、
やさしさと悲しみ。
Potsunen」「maru」と、
笑いと、笑いの先に生まれる、別の感情をも表現しておられましたが、
今回はひたすら、心地よい笑いを、
少しの懐かしさとともに届けてくださっていたような。


前二作及びラーメンズのコントをこよなく愛する人間ならば、
何度もニヤリとしてしまうネタが満載。


小宮山さんや、
ウルトラクイズの司会者、
噺家
メロス、
マーチンっぽい見た目の(笑)良くしゃべる変な毛虫、
テキストのネタもチラリと聞こえたり。


今回は落語的な言い回しや所作や小道具を使ったネタが多数みうけられ、
また、
紙芝居や、
昔ながらの少年探偵のラジオドラマ風なものに、
生でSEを人力でつけるようなものがあったり、
干支が覚えられない男の悪戦苦闘ぶりをコントにしたものがあったり。
日本の伝統を支える、良き職人芸的なものを踏襲しているような、
なんだか懐かしくも凛々しいにおいのするものが多かった。


今までは、その「日本的なもの」を、
違う視点(アメリカ人が思うようなズレてる日本)
から見たものをそのまま出すことが、
違和感を感じて笑っちゃう、
というような使い方をすることが多かったのだけど、
日本語学校のシリーズとか、不思議の国のニホンとかさ)
今回はそうではなくて、
日本の「笑い」を極めた「芸」を尊重することによって、
同じ日本の血が流れている観客に、
伝わる機微のある笑い、というか。
うん。
すご上品な作品だったような気がしますね。
思いやる気持ちを忘れてない、というかさ。


セットはいつもの感じ+考古学教授の部屋のような一角が。
ネタもそうなんだけど、
そのセットの感じがねぇ、大正〜昭和初期な匂いがすごくしてて。
モダンな感じというか。
前までのは、ネタ込みで、
19世紀くらいのロンドンっぽいなぁと思ってたんだけど。
見た目はそんなに違いがない、ようにしてますけど、
家具や、かばん、小道具等、
歴史あるものを使ってるのは同じなのに、
それらがほぼ、日本製、であるような気がしたんですよね。
西洋ではなく、東洋のフィルターをとおした西洋のにおい。
そうね。
世界観は「LENS」に近いかもね。


もちろん、我々の期待を裏切らない、
アナグラムの穴や映像とのコラボレーションも健在。
今回はさらに、一ひねり。
いちいち感嘆の声をあげてしまう。


いつものように、かっちり作り込んでいる部分もあり、
自由度がとても高い部分もあり。
一人だからこそ、一人ならではの、ですね。
あのアナグラムの穴さえ、
カードをざっと集めようとして、
たまたま見つけてしまったアナグラムに即興で意味をつけてみたり。
ハズすかもしれないけど言っちゃえ!みたいな、
ケンタロさんにはあまりない行動が随所であって…。


あー、これがポツネンの空気なんだーと、
生で見て初めて分かった気がしました。
一人の自由さ、
不自由さ、
両方を存分に楽しんでるケンタロさんを目の当たりにして、
本当にこの人は、
「笑ってもらう」ということだけに、
すべてを支配されてる人なんだなぁと改めて思った。


それにしても。
ケンタロさんの作品を見ると、いつも思うことなんですけど。
目の前で展開されていることが、単純にとてもおもしろくて、
ただ笑ってしまっているんだけれど、
ん??
今の、なんでおもしろいんだろう??
何が言いたかったんだろう??
って考え出しちゃうと、
途端にグルグルして、止まらなくなってしまうのよね(笑)
おかげで、脳の動きは活性化しまくりです。
すんげー疲れてて眠いはずなのに、
帰りのJR車中で、この長文、書いてますもん(笑)
考えるのに疲れても、
眠くならなくて、
本一冊読んでしまったし、i-Pod聞きまくったりしちゃって・・・。
考えることが、楽しくなっちゃうのよねえ・・・。


徳澤さん、今回もいい音作ってくださってましたわ〜。
アナグラム、ちょっとアレンジ変わってませんか??気のせいか?
そうそう、
今回のグッズの目玉。
待ちに待った、ポツネンサントラ!!!
しかも楽譜に見立てたノート付き!素敵!
即座に購入。
ラーの音より、生音が基調で、ドラマ性が高いので、
さらに聞きごたえがあります。
音単体でも、なんの問題もない。
っつうか、ドラム、ASA-CHANGが叩いてます!!!びっくり!!!
ブルーハッツ繋がりですなあ。



伊賀くんも、相変わらずいい仕事しとりましたし。
三つ揃いを着こなす男子は3割増しでしてよ(笑)


いっぱい笑ったし、楽しかった、ですけど、
感想としては、とてもいい作品を見た、という方がしっくりきますね。
コントなのに。
コントなのか??
・・・もうこれは、「ポツネン」というジャンルでしょうね。
ケンタロさんにしか作れない、誰も手を加えることのできない、世界。
私たちは、それを、
こっそり分けてもらているような、そんな感じがしました。

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